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ブログ倉庫1(2005/4-2014/10)

声楽とスパルティートのレッスンが続いて、各講師やスタッフ達からは、今回の日本からの若者達のレベルが非常に高くて素晴らしい声の持ち主達だという声が上がっていて、少し安心してはいるのだが、幾つかの日本人特有の問題点も浮き上がりつつあるようだ。もうちょっとはっきりしてから書こうと思う。さて今日は俳優技術の演習の3回目、最後の日である。オズヴァルド氏の演習は非常に興味ある内容ではあるが、まだまだ舞台経験のない今回の学生達ではこなしきれなかったであろうと思う。つまり純粋に舞台上で如何にオーラを放つような存在たり得るのかといった、実際の舞台上での演技術の核心を突いた、非常に内面的な作業・演技を要求する演習だったためであるが、一方では、大学院オペラなどで慣れている学生たちが、今の自分の自然体で表現しようとする方向に対してはオズヴァルド氏の方が新鮮に受け取ったようで、それなりに学生たちを評価してくれていた点が非常に興味深かった。オズヴァルド先生の演習が今日で最後という事で学生たちから小さな扇子の贈り物をして感謝を示す。その後、私と森田先生は昼休みを利用して、今回大変苦労してくれているSOIのインターナショナル渉外担当でディクションの先生でもあるパチェッティ女史と彼女のオフィスで会う。まずはセミナーの進捗状況、今週の流れを見ての来週のスケジュールの検討などを話しあうと、来週早々に予定されているウイリアム・マッテウッツィ-William Matteuzzi-先生のマスタークラスの授業の合間を見て、研修所の副校長で指揮者のマッテオ・パーイス-Matteo Pais-先生の総見稽古を組み、セミナー最終日の修了コンサートに向けて準備したいと提案を受ける。うれしい悲鳴を発しつつよろしくお願いする。またフリーの自習日となっていた明日の土曜日についても、ボローニャ歌劇場の内部ツアーと、新設されたボローニャ音楽博物館の見学、それに夜のSOIオペラ公演の観劇を学生たちの為にセッティングしてくれる話を聞き二人して大喜びをする。我々の方からは、来年9月のボローニャ歌劇場の日本公演についての情報を聞き出し、その来日メンバーに大学に来てもらってのレクチャー・公開レッスンなどをしてもらう可能性があるかどうか知りたいので、できれば歌劇場の上層部の人物とのコンタクトをしたい旨お願いしてみると、彼女はすべてその場でセッティングしてくれ、大いに感謝する。明日の公演のためのG.P.が今夕あり、彼女はフランス語の指導に行くのだが、見に来るかと言われ、森田先生と二人で行くという約束をして別れる。午後からのレッスンを夕方に抜け出し、劇場の職員入り口からパチェッティ女史とともにG.P.の行われている1階のプラテア席に顔を出すと、舞台ではペルゴレージ-G.B.Pergolesi-の「奥様女中 –La serva padrona-」のオーケストラ付きでの稽古が行われている最中で、運よく有名なセルピーナ-serpina-のアリア「私の愛しいおこりんぼさん-Stizzoso,mio stizzoso-」を聞く事が出来た。オーケストラ編成は特別にペルゴレージの時代を意識した編成でもない様子だが、その比較的大ぶりの編成のオーケストラからは想像できない、非常に繊細で、速くて軽い、音離れのいい爽快な響きの伴奏に乗って、一時代前のアメリカ写真雑誌から抜け出してきたような、非常にセクシーな女中セルピーナがベッド回りでその軽快なメロディーを軽々と歌いながら、ネチネチと主人ウベルト-Uberto-に絡む様には、とりあえず圧倒され、研修所のレベルの高さを見た思いがした。我々の近くの客席には、出番でない歌手やスタッフ達が大勢見ているのだが、前の方には演出やスタッフの学生たちに混ざって、今振っている学生指揮者に細かくアドバイスを背中越しにしている、指揮の先生の姿が見え、研修所公演らしい光景かなと思った。

 

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