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ブログ倉庫1(2005/4-2014/10)

5月ももう終わるという日、めずらしく寒い雨が降る中、河口湖へ行ってきた.4月から5,6月と富士山麓は最高の季節で、毎年クラブを担いで仲間達と遊びに通うのだが、今年はなぜか4月に1度行ったきりだった.いつも遊ぶ拠点は決まっていて、そのうちの一つはもちろんゴルフ場.お気に入りは「鳴沢ゴルフクラブ」と「富士レイクサイド」.そしてゴルフの後では森の緑に囲まれた中でのビールや季節の山菜を楽しむのが最高の時間だ.一つは浅間神社の森に隠れた美味しいレストラン兼ペンション.料理教室を開いている奥さんのこれ以上ない美味しい料理をこれでもかと毎回堪能している.そしてもう一つのお気に入りの遊び場所が、ゴルフ場のすぐ横にあるKさんご夫婦の別荘だった.標高1,200mの森の中に、東京・六本木から移り住んだKさんがご自分で設計なさって建てた素敵な八角形の建物で、二階から上に作られた音楽専用の素晴らしい木作りの空間はいつ行っても別世界だった.真ん中に掘られたピアノ4台分ほどの円形のスペースを中心にして、その外周と壁の間がやはりソファーセットを置けるほどの幅がありぐるっと取り巻いていて 2,30人が好き勝手に寛げるようになっている.富士山頂に向った南側は140度ほど開いて4m位のガラス張りで外の大木の幹や森の緑を見せてくれる.南側はさらにいちだん深くなって教会の祭壇のような作りで、パイプオルガンのパイプがいぶし銀に光っていて、その金属の光と天井全部を覆った自然の木材のコントラストが美しい.建てた当初はここで沢山のコンサートを開いたと聞いた.
何年か経ってKさんはまたご自分で設計なさって、河口湖の反対の湖水の辺に、今度はスペイン風なお家を建てられて、そちらに居を移された.そんな頃にKさんご夫婦を知った僕は、八角形の音楽堂を音楽大学の学生達の合宿の時のレッスン用に貸してもらうようになり、それからは季節季節にこの八角形の別荘に訪れるようになり大変幸せな時間を作ってもらった.いろいろな事情があってこの別荘を人手に渡されるとお話があったのがこの4月で、正直びっくりもしたが残念でならなかった.そして先週、奥様からお電話を頂き久しぶりに中央高速から富士の懐、緑の中を走って別荘に駆けつけた.1年で一番緑色の鮮やかな今、雨にしっとりとぬれて霧のベールを被った八角形の懐かしき館は、主人が替わるのが気に入らないのか、ちょっと寂しげに見えた.時間の止まったような会話を一時間半ばかり交わしての別れ際、奥様から自宅で育て上げたというクレマチスの鉢をいただいた.雨に濡れた6弁の紫の花は自然の緑の中でとても幸せそうに見えたが、東京のコンクリートの上に持っていって機嫌を悪くしないだろうか?

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