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ブログ倉庫1(2005/4-2014/10)

bologna7280045昨日に続きW. マッテウッツィ先生のマスタークラスの2日目。11時と15時からの2回に分けて、各学生にとっては2回目のレッスンである。マスタークラスの合間を縫って指揮者パーイス先生のアンサンブルの音楽稽古も他の部屋で組まれていて、アンサンブルのグループごとに出たり入ったり忙しく練習が続く。正念場、ピークで、学生達も疲れたか、廊下を歩いてすれ違っても声が聞こえてこない。エントランス・ホールの長ソファーにうつ伏せで寝ている者あり。そんな中、マッテウッツィ氏が来ている事もあり、SOIに在籍中の歌手達が何人も顔を出しに来る。マッテウッツィや、他のレドーリア-、タラメッリ先生などとおしゃべりをし、我々にも気さくに話しかける。私の方からも、先週のオペラに出ていた歌手を見つけては、オペラを観た感想などをきっかけに色々話してみる。オッフェンバッハの「小さなリンゴ」でカトリーヌ役を演じていたソプラノのアンナ・マリア・サッラ-Anna Maria Sarra-さん、とてもコントロールされた美声の持ち主で、そのティンブロ(声の輝き)が素晴らしくて、演技のモダンさ、フランス語の自然さなどとも相まって、一瞬にしてファンになってしまいました。話してみると彼女の歌同様とても頭の良い人の印象で、目の輝きと短髪のブロンドが素敵な若者でした。彼らは好きな時に来て声を出したり、勉強したりしているようで、時々他の部屋から素晴らしい歌声のテノールやソプラノが聞こえて来て、そんな時はソファーで寝そべっている者もむっくりと起き上がり、みんなで耳をそばだてたりしていた。マッテウッツィ先生のレッスンを聞いていたら後ろから声をかけてきたのが、やはりオペラに出ていたバリトンのマッティア・カンペッティ-Mattia Campetti-君、イタリア人。先週の舞台では二つのオペラにそれぞれ歌わない役と、主役のバリトンで出ていて、美声の持ち主、プラス大変な芸達者であったが、休憩の中での衣装の取り換えだけでなく、役柄の切り替えに伴って、イタリア語からフランス語への言葉の切り替えをも簡単そうにこなしていて大変印象深かった歌手です。話してみると人柄もとても気さくでしたが、我々の学生達の歌う声、特に日本のバリトンが気になるようで、そのレッスンを食い入るように聞いていて、歌が終わると私の方を見て「すごい声だ!信じられない」という風に首を盛んに振って大きな興味を示していました。彼のように興味に集中をして絶やさずにいる事は案外重要な事であろうと思う。彼はSOIの中でこの1年間で一番伸びた歌手だとスタッフが話していたのを思い出したので、彼に聞いてみるとその原因は我々が今回受講しているソプラノのレドーリア先生の影響が大きいという事、彼女の教えで声が大変安定し伸びるようになり自信を持って歌えるようになったと答えてくれた。このSOIの講師の雇い方が非常にはっきりしていて、声楽のコーチなどにおいては特に、短い契約の期間でのある程度のはっきりした結果や、ポジティブな評価がない限り、すぐに代わりのコーチに交代させられるというのである。そういった意味で見ると、レドーリア先生は、現在この研修所にて一番結果を残している声楽コーチであるということである。すでにデビューを飾ったりして活躍している歌手などのレベルでの話である、そのレベルでのはっきりした判断ができる人材、プロ達が揃っているという事であろう。

 

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